住み替え住居の値上がり問題
含み益を抱えている不動産が増えている
2024年の1月時点では、特に東京都内の物件で買った時よりも高くなっている物件が増えています。
タワーマンションに至っては購入時の2倍近くになっている物件もあります。住んでいる不動産を売りに出せば利益が残る含み益の状態になっている不動産所有者が増えています。
郊外の物件でも金額の差はあれど、同じような状況になっている所有者の方も多いのではないでしょうか。特に1990年代後半から2000年代前半に物件を買われていた方に多いです。
当時はバブル崩壊後の失われた10年と言われており、正直不動産が値上がりするなんて誰も期待していなかった時期です。
一部、サラリーマンの不動産投資が流行りはじめて投資物件が値上がりしたり、不動産投資ファンドが特定のエリアの商業ビルに集中投資して部分的に値上がりをしたという事があったくらいです。
この時期に物件を購入した人は、物件の値上がりを期待して投資目的で購入したというよりは生涯住み続ける前提で購入されていた方がほとんどです。
住み替え住居も高いのでプラスマイナスゼロ?
では、所有している不動産が値上がりをしたので、売ってしまおうと考えても新たな問題にぶつかります。それは次の住まいも値上がりしているという点です。
売った後にどこに住むかにもよりますが、今住んでいる家の近くに例えば少し今より狭い家を買ったとしてます。ですが、そこも値上がりをしているのでそれほど安く買えません。
特にリフォーム済のマンションに引っ越そうとする場合、いまより20㎡くらい狭い物件でも、今の家と同じくらいの金額になっている可能性があります。
リフォーム済物件は、リフォーム費用と売り出している不動産会社の仲介手数料等の経費が乗っているからです。
そうすると、高く売れても次に住む家を買うと手残りが無くなってしまいます。そういった事情からお子さんの学校や会社の都合があり、今の家の近くに住み続ける理由のある人は簡単には売り出せないというケースが多いようです。
結果として、売りに出される物件が減り、更に物件が値上がりするという事態になっています。
勤務地を基準に距離で考えるとお得なエリアはある
仮にですが、今の職場からの距離だけを気にするのであれば解決策はあります。大手町を基準に考えると地下鉄で15分圏内ですと、白金台や三田は1億円前後の物件が、巣鴨や板橋区役所あたりになれば半分以下になります。
ライフスタイルを変えてもいいかなという人にはこのタイミングは売却するチャンスとも言えます。また、高齢者の方でこれから施設に入る事を検討している方にもまとまった現金を先に得ておくために今売り出すのは良いタイミングです。
相続も同様に、次の家を探す必要がないので売り出すには良い時期と言えます。不動産に関しては株価と異なり、居住用の物件がいきなり翌日に半分に値下がるという事はあまりありません。
そのため、少しずつ落ち始めたなというタイミングが来たら、そのままズルズルと値下がりしていく可能性があります。
ここ数年はずっと値上がり傾向でしたので、次のライフスタイルを変えたい、あるいは転居先を考える必要のない人は売り出すタイミングを考えても良い時期かもしれません。